住むを考える
浅尾美和さん
第一子を出産しママとして奮闘する元プロビーチバレー選手の浅尾美和さん。今回はそんな浅尾さんが想い描く理想の『家』についてお話しいただきました。
住まいに求めるものとは?
須賀●『家』に対するイメージは、アスリート時代とご結婚・出産後では変わりましたか?
浅尾さん●ものすごく変わりましたね。ビーチバレーの選手時代は、遠征も多くて、家にいる時間も少なかったので、家でくつろぐという発想がありませんでした。しかも、家に帰っても選手である自分は変わらないので、リビングでストレッチや腹筋などのトレーニングをしたり。食事も楽しんで作るというよりも、「体を作るための食事」が主体で。今考えると、女性らしさがまったくない生活をしていましたね( 笑)。でも、結婚して、『家』で過ごす時間がとても大事なものになっています。家族の基盤となる場所だと思っているので、「うちが一番いいな」、「早く帰りたいな」と思えるような住まいを作りたいですね。特に子供が生まれたばかりなので、子供といっしょに成長できるような家づくりができたらいいなと思っています。
須賀●『家』を建てるとしたら、一番大事にしたいことは何ですか?
浅尾さん● たくさんあって迷いますね( 笑)。でも、優先順位で一番上に来るのは、「光が入る明るい家」です。朝起きたら朝日がたっぷり降り注ぐような、そんな空間で子育てしたいですね。太陽の光は心を明るく、伸びやかにしてくれると思うんです。インテリアもそんな太陽の日差しが映えるような、木の質感をそのまま生かしたナチュラルなテイストが好み。私自身が自然の多い場所で育ったので、子供も伸び伸びとした空間で成長していってほしいな、と思っています。特に、家族が集うリビングは、光がたくさん入る吹き抜けのあるデザインが理想。実際に家を建てる際も、この部分は絶対譲れないと思っています。
須賀●『家』を建てることを考えたときに、母親としてもっとも気になる部分は何ですか?
浅尾さん●やはり、キッチンですね。母親の場所というか、母親が長く立つ場所ですから、モデルハウスに行っても、キッチンは時間をかけて見てしまいます。自分が家を建てるときは、〝オープンキッチン〟 スタイルにすると決めているんです。料理や洗い物をする時間でも、家族から孤立はしたくないですからね。子供が「ただいま!」と帰ってきて、キッチンにいても母親がすぐに顔を見せてあげられること。さらに子供がリビングで宿題をしている前で、夕食の支度ができる、そんな家族と時間を共有できるキッチン空間が理想です。自分も母が料理する姿を見て育ちました。そんな姿を見ながら、ご飯を作ってくれるありがたさや母親のやさしさを感じて、お手伝いする気持ちも芽生えた気がします
須賀●子供部屋はどんなスタイルがいいと考えていますか?
浅尾さん●私自身、兄妹が多かったので、個々の部屋というよりも家族で過ごすことが多かったですね。宿題もリビングに兄妹が集まってしていました。ケンカもしたけれど、個々で過ごすよりもいい経験をしたのかも、と感じることが多いですね。自分の空間を持たせてあげることも大事ですが、子供には親の気配、親には子供の気配をいい意味で感じることができる、そんな空間を作りたいですね。この間、建築家の方から“吹き抜け” にすると、2階にいる子供の声が母親に聞こえて、キッチンにいる母親の声が子供にも伝わりやすいと聞いて、「なるほど!」と思いました。あと、子供も成長していきますし、今はまだ息子ひとりですが、これから弟妹が増えるかもしれませんので、間取りなどを含めて、そうした子供の変化に対応できるような子供部屋がいいなと考えています。
浅尾さん●モデルハウスに行くと、「あれもいいな、これもいいな」といつも迷ってばかりで。なかなか方向性が決まらなくて( 笑)。上手な見方や決断の仕方はありますか?
須賀●実は、浅尾さんのように迷われる方は実際とても多いです。やはり大きな買い物なので、迷われるのは当然だと思います。でも、一度迷い始めると、逆に悩みが増えてしまう方が多いようです。
浅尾さん●わかります!いいものが次々と出てくるので目移りばかりしてしまって( 笑)。それも楽しいのですが、最終的には迷路に入って抜け出せなくなるんです( 笑)。
須賀●やはりそうですか( 笑)。そんなときは、自分の「ここは譲れない」「ここはお金をかけてもいい」という部分を明快にしておくといいですね。そういった揺るがない軸を作ってから、他の希望をプラスしてみてはどうですか?
浅尾さん●なるほど! どうしてもモデルハウスでお話を伺っていると希望が膨らんで、軸がブレてしまって。やはり軸を明確にしておくことは大事なんですね。
須賀●何が大事か優先順位をつけて逆にリスト化して、メモにして持っていくといいですね。モデルハウスをそのまま建てるのではなく、そこからみなさんのご希望に沿ってオーダーメイドしていくものですから。希望することは言って頂いて、わからないことは遠慮なくどんどん質問してください。自分の要望をさらに整理することができますし、そうすることで、きっと思い描いていたブレのない軸のある住まいが完成するはずです。