住むを考える
園田博樹さん
建築資材、木材を扱うプレイリーホームズの園田博樹さんに、アルネットホームの水元が無垢材の魅力とメンテナンスのポイントを伺いました。
無垢材の魅力とは
園田さん●無垢材には様々な魅力がありますが、1つは、「あたたかみ」ではないでしょうか。ナラやケヤキなどの広葉樹は触れたときに温かみを感じますが、針葉樹のスギ、ヒノキ、松は空気をよりたくさんたくわえることができるので、さらに温かみがあるといわれています。
水元●だからスギやヒノキ、パインは無垢フローリングに使われることが多いのですね。
園田さん●そう通りです。1枚1枚木目が異なりますので、その「個性」も楽しめますよね。視覚的にも、その香り成分においてもリラックス効果があるとされています。
水元●確かに、山や森に行くとなぜか落ち着きますし、深呼吸したくなりますよね。
園田さん●そしてもう一つは「経年変化」。年月とともに深みのある色へと変化しますので、無垢材の味わいもどんどん増していきます。温度が高いと湿度を吸い、乾燥していれば湿気を吐き出して快適な湿度を保ってくれる「調湿作用」もあるんですよ。
水元●メリットの多い無垢材ですが、半面、注意しておきたいことはありますか。
園田さん●天然木であるがゆえに、乾燥する冬場は縮み、湿度の高い夏は膨らみます。そのため曲がりや反り、割れ、隙間などができることがあります。
水元●こうした特徴も理解したうえで、無垢材と付き合っていくことが大切ですね。
塗装種類とお手入れ方法
園田さん●無垢材を床に使用する場合、ウレタン塗装かオイル塗装を施すのが一般的です。ウレタンは木の表面に膜を張るような塗装なので、ツルツルした触感があり、太陽光が当たるとやや反射するのも特徴です。オイルは木の内部に天然油脂を浸透させる塗装で、木の質感をそのまま感じられます。
水元●普段の掃除で気を付けることはありますか。
園田さん●掃除機でほこりなどを吸い取って乾拭きをすることが基本です。汚れを落とすために水を使う場合は、かたく絞った雑巾を使ってください。これは、ウレタン塗装もオイル塗装も同じ。間に物がつまってしまった時は、爪楊枝等で取り除きましょう。
水元●使ってはいけないものはありますか。
園田さん●化学素材がついた雑巾は、変色してしまうこともあるので使わないでください。汚れが気になったら専用のクリーナーでふき取り、半年から1年に1回、ワックスをかけおけば美しく保てます。
水元●専用クリーナーやワックスにはどんなものを使用すればいいでしょうか。
園田さん●リンレイの「ノンブライト」は樹脂塗装された床材用のワックスで、ウレタン塗装に使えます。床に直接たらして布で薄くなでるように塗るだけですので、誰でも簡単に使用できます。オイル塗装の場合は、天然素材の塗料を選んでください。例えばドイツのリボス社製の「グラノス」は、ワックスとしてもクリーナーとしても使えます。
「こんな時は?」の対処法
水元●例えば子どもがクレヨンで落書きをしてしまったときはどうすればよいですか。
園田さん●オイル塗装もウレタン塗装も、前に紹介した「グラノス」を直接垂らして布でふき取ります。オイル塗装のしつこい汚れはサンドペーパーでこすって汚れを落とし、「リボス塗料」( 亜麻仁油)などを刷り込むように塗り、自然乾燥させます。サンドペーパーで削る際は、強くこすりすぎないことがポイント。ウレタン塗装にはサンドペーパーは使えませんので、グラノスでふき取って仕上げに「ノンブライト」を塗ります。
水元●オイル塗装の場合、表面がざらざらしてきた場合も、サンディングで処理すればいいのでしょうか。
園田さん●毛羽立ちがひどくなければ、段ボールで軽くこすると抑えられますよ。サンディングだと表面の塗装を落としてしまうこともありますが、その心配もありません。
水元●ホットカーペットで板が変形してしまったということをウェブで見たこともあるのですが実際はどうなのでしょうか。
園田さん●熱が直接当たるところは、収縮や反りが大きくなるので極力避けていただきたいですね。変形してしまったら元には戻りません。「床暖房はどうなの?」と思われたかもしれませんが、床暖房用の無垢材もあります。
水元●硬いものを落として凹んでしまった場合はどうでしょう。
園田さん●ウレタン塗装ではできませんが、オイル塗装であれば水を含ませておき、布の上からアイロンをかけると膨張して戻ることもあります。だたし深いへこみは戻りませんし、広葉樹の堅い木の修復は難しいですね。
水元●お聞きしているうちに、それほど面倒なメンテナンスは必要ないとわかりました。例え、いろいろなキズや反りがあったとしても、それが我が家の「味」になりますしね。
園田さん●そうなのです。無垢材は材料費のコストがかかるように思いますが、長持ちして補修もでき、室内環境も整えてくれる優れもの。劣化せず、美しい経年変化を楽しめるのは無垢材だからこそですよ。