「独特のフォルムを持つビカクシダは、リビング
に鉢を吊って飾るのがおすすめです」( 和義さん)


「季節ごとに、花苗のほ
か雑貨やディスプレイの
寄せ植えなども変えて、
目新しい情報を発信して
います」( 健太郎さん)



フローラ黒田園芸
園芸・ガーデニング専門店。花苗のほかガーデン用資材&雑貨などを多様に揃える。月に1度のガーデニング教室も開催。
埼玉県さいたま市中央区円阿弥1-3-9
☎︎04-8853-4547
http://florakurodaengei.com
住むを考える
黒田健太郎・和義さん
「フローラ黒田園芸」でコーディネートを担当する兄・健太郎さんとバイヤーを務める弟・和義さんのお二人に植物の魅力と飾り方について弊社羽角が話をうかがいました。
草花を育てる喜びを味わってほしいし
羽角●「フローラ黒田園芸」といえば、花苗のほか、ガーデン雑貨も充実する、植物好きが憧れるお店だとうかがっています。遠方からのお客さまもかなり多いようですが、お店へのこだわりを教えてください。
健太郎さん●初心者でも育てやすい花苗を選んで置いていることですね。なんでもそうですが、一度失敗すると、もう嫌になっちゃいますからね。「たくさん花が咲いた!」という成功体験を重ねて、育てる楽しみにのめり込んでもらいたいんです。
和義さん●一風変わった花姿で、コレクターの心をくすぐる品種も置いていますが、育てづらいものは選んでいません。
健太郎さん●それから、花の魅力をなるべく引き出した状態で見てもらえるように、敷地内の随所にディスプレイスペースを設けています。草丈の高さはどのくらいなのか、枝は垂れるのか、這うように広がるのか。ただ単に並べられたポット苗の状態ではイメージしづらいですからね。
和義さん●植物に加えて、ガーデンシェッド( 物置)に、イスやテーブル、オブジェなども組み合わせているので、コーディネート提案の場にもなっています。これらの構造物は、草花の発色のよさがより引き立つように、あえてアンティーク材を使ったり、エイジング加工をしたりしています。
ステップをふんで庭づくりを楽しもう
羽角●これからガーデニングを始めたいと考えている方には、最初の一歩は、まずどこから取り組んだらいいでしょうか。
健太郎さん●まず、シンボルツリーを植えてみては。隣家や道路からの目隠しが欲しいのであれば、常緑樹を選ぶといいですね。特に家を建てたばかりの方だと「全部プロにお任せしたい」という方もいますが、DIYで作り上げていくのも楽しいですよ。
羽角●おすすめの樹木はありますか?
健太郎さん●ジューンベリーがいいですね。落葉樹ですが、四季によって表情の変化を楽しめるよさがあります。春に白い小花が満開になり、6月頃に赤い実をつけ食べることができます。夏は涼し気な緑陰をもたらし、秋には真っ赤な紅葉が楽しめます。
羽角●視覚・味覚ともに楽しめて、いいですね!シンボルツリーを決めたら次に何をしたらいいのでしょうか?
健太郎さん●まずは庭全体のプランニングを考えましょう!空いたスペースに植物を植えるのではなく、あらかじめ庭の骨格づくりをすることが大切です。物置が必要ならどこに置くか、動線となる小道はどのように配すのか。これらを先に決めると植栽スペースがイメージできると思います。
羽角●家づくりと同様に、部分的ではなく全体を考えなくてはいけないんですね。
健太郎さん●スペースに余裕があるようでしたら、入口にアーチを取り入れるといいですね。アーチで入口を一旦狭くして、それをくぐった先に、美しいガーデンが広がっていると、別世界に入り込んだかのような感覚になります。
羽角●なるほど!植栽を選ぶ基準は?
健太郎さん●まずはご自身が気に入った植物を植えて楽しむことが一番だと思います。お子さんがいるご家庭なら、家庭菜園を作るのもおすすめ。その場で採れたてを味わうという楽しみ方もいいですね。夏野菜の苗は4月下旬〜5月上旬頃から出回り始めますよ。
羽角●今がちょうどいい時期ですね!
健太郎さん●家庭菜園は、多少手間がかかってしまいますが、食育にもつながります。メンテナンスを軽くしたいというのであれば、カラーリーフや宿根草などをメインに植栽するのが良いと思います。
インテリアグリーンの上手な演出法
羽角●室内にグリーンをふんだんに飾るインテリアスタイルが流行していますよね。これから始めようという方には、どんな植物がおすすめですか?
和義さん●エアプランツから始めるといいんじゃないでしょうか。土に植えつけなくても育つので気軽に取り入れられます。チランジアを吊るしたり、転がしておくだけでも絵になりますよ。ただし、何も与えずに育つわけではないので、たまに霧吹きで水や液肥をあげてほしいです。
羽角●リビングに何か飾りたいなと思っているんですが、どんな植物がいいんでしょう?
和義さん●リビングのような広い場所には、主役を張れる観葉植物を選びたいですね。モンステラやストレリチアのように、大きい葉を持ち、たっぷり枝を広げるフォルムを持つ植物を選ぶと、インパクトが出せます。ひと鉢あるだけで「きまり」ます。
羽角●逆に狭い場所だとどうでしょう?
和義さん●窓やオープンシェルフなどのディスプレイ用なら、多肉植物やエアプランツがいいですね。1鉢だけでもいいですが、3鉢ほどまとめ置きするのがおすすめ。単調にならないように、草丈で高低差を出したり、鉢の大きさを変えたりすることがポイントです。
羽角●変化をつけることも大事なのですね。中でもおすすめの品種はありますか?
和義さん●ジャングルの森林で育つリプサリスは、光の弱い室内でもよく育ち、しだれる表情もいいですね。ビカクシダも人気が高いですね。吊るして飾ると目を引きます。
羽角●店内に飾ってあるものどれも素敵に見えるのですが、オシャレに飾るコツはありますか?
和義さん●インテリアに飾るなら、買ったままのプラスチック鉢ではなく、部屋の雰囲気に合う鉢カバーを使うといいですよ。
羽角●なるほど、確かにどれも素敵な鉢に入ってディスプレイされていますね。
和義さん●庭と同様に、構造物や雑貨と組み合わせるとセンスアップします。ハシゴを取り入れて吊るしたり、脚立をディスプレイスペースに使ったり。多肉植物やエアプランツは流木やガラスの器にあしらっても絵になります。
羽角●イメージしただけでも素敵ですね!私も早速実践してみます!
健太郎さん●専門誌やガーデニングの洋書などいろいろ見て参考にするのもいいと思います。草や花が育ちやすくガーデニングを始めるにはうってつけの時期。わからないことがあったら、気軽にうちのお店に遊びにきてください!